【d!】君の犬になりたい。 (ページ15)

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『コネシマさんお酒あんまり普段飲まないでしょ？運動した身体にアルコールいれると吸収が良くなりすぎるから、先にお水飲んで？』

kn「ん、ありがとうな、ちょっと落ち着いてきたわ。」

『そう？じゃあ乾杯しよっか！』

グラスをコネシマさんの方に傾ける。コネシマさんも応えるようにグラスを上に掲げた。

シャンパングラスはデザインを重視して作られているものが多い。そのため乾杯の際は、あまりグラス同士をぶつけてるのは好ましくない。礼儀のなっている彼女はそれを理解してグラスを傾けるだけに留めた。

ふと俺は彼女がどういう人生を歩んできたか、どういう人間と出会い、この店に席を置いているのか何も知らないことに気づいた。彼女の洗礼された美しさ、所作のひとつひとつ、性格の良さ、それらは一体どこから来ているのだろうか。

kn「なぁ、A、1つ聞いてもええか？」

『どうしたのぉ？コネシマさん、』

kn「どうして、この職業にAは着いたんや？」

『んー？それはねぇ！私のおばあちゃんがあんまり身体が強くなくてぇ、お金が必要だからだよ！』

kn「……。そっか、辛いこと聞いてもうたか…？」

『ううん！今私はこの職業で良かったと思ってるし！
何よりおばあちゃんの役にたててるのが嬉しいの！
私身内はおばあちゃんしかいないし！』

kn「…！そうか、Aはおばあちゃん思いなんやな、。」

kn「俺も親が忙しくて、あんまり家におらんかったからおじいちゃんおばあちゃんに育てられたんや。」

『…！そうなんだぁ！私は親はもう私の小さい頃に亡くなっちゃったんだって、不謹慎だけど、お揃いだね、私達！』

Aが何気なく言ってくれた、お揃いという言葉が何となく嬉しくて、思わず涙が出てきた。友達と家族の話題になると輪に入れなかった俺は、表面上は気にしなかったが、気づいていないうちにその事に心を蝕まれていたみたいだ。
それに気づいたAは泣いてる俺に構わず頭を撫でてくれる。

『コネシマさんはいつも1人で頑張ってるけど、たまには誰かに甘えていいんだよ？コネシマさんのおばあちゃんだったり、お友達でもいいし。』

kn「……、Aじゃあかんの…？」

頭を撫でてくれる俺より小さな手に擦り寄る。ちらりと見上げた彼女の目はとっても嬉しそうに細められた、その様子があまりに色っぽくて、思わず顔が熱くなる。

『ふふふっいいに決まってるでしょ！私、飼い犬の世話はきちんと見るって決めてるんだよ！』