【d!】君の犬になりたい。 (ページ23)

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カツンと快活な音のなったグラスの中の液体を少しだけ飲む。最近はシャンパンしか飲む機会がなかったため、久しぶりに飲んだ黄金色のハイボールはいつもより美味しい気がした。

『ゾムさんはあんまりキャバクラみたいなお店来ませんか？お酒苦手だったりとかも大丈夫でしたぁ？』

私は眉を下げて申し訳ないように言う。それを見てゾムさんは慌てたように口を開く。

zm「そんな！確かにこういうお店は初めてですけど、お酒も全然飲めますよ。逆に俺なんかが相手で大丈夫ですか？」

頼んだのが安酒でごめんなさいと頭を下げそうになる彼に、首を振ってフォローの言葉をかける。

『そうじゃなくて！初めてならもっとお話しましょ〜？せっかくなんで仲良くなりましょう！』

そう声をかけると安心したようにふにゃりと彼は表情を崩す。よかったー！彼は少し顔を赤らめて恥ずかしそうにこういった。

zm「お、お恥ずかしながら、女性経験がそ、そんなに多いわけでなくて、Aさんもと、とてもお綺麗な方で、凄くき、緊張してしっ、しまって……。」

『そうですか〜、そうだ！私には敬語なんてなくても全然いいんですよ〜！ほら試しに呼び捨てで読んでみてくださいよ、私のこと！』

へ？と少しポカンとする彼の顔をみて、ニコリとまた微笑む。すると彼はようやく言葉の意味を理解したのか、首をブンブン横に降った。

zm「む、無理です、俺なんかが、呼び捨てだなんて、おこがましすぎます。」

『ものは試しですよ〜？1回だけ、ね？』

ダメですか？と上目遣いをすると、ゾムさんからｳﾞｯと小さく喉の奥から悲鳴があがった。お、そうだ、私今日めっちゃ可愛いんだった。これでもかと可愛こぶっていると彼が意を決したようにこちらをちらりと見て、

zm「A、ちゃん。こ、これで勘弁してや？」

と言ってきた。なんそれめっちゃ可愛い。思わず頭に手を伸ばす。すると彼の顔が段々真っ赤に変わっていく。はくはくと口を開いたり閉じたりするゾムさん。なんだこれ、新しい扉開いちゃいそうなんだけど。

その後真っ赤になった彼に仲間たちが帰るよと声をかけていた。顔の紅さを誤魔化すように、残ったお酒を飲んだ彼は私に

zm「また来るで、次はシャンパンいれるわ。」

と言ってくれた。出口まで送って行く時もさりげなくエスコートしてくれる彼はやはり優しい。待ってるねと言うとその言葉を噛み締めるように、彼は出ていった。

初めての夜は意外にも簡単にふけていった。