【d!】君の犬になりたい。 (ページ36)

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新宿の一等地に建つそのホテル、ここ、ル・セルブレイユでは今まさにパーティーが行われようとしていた。Aの所属するアルシードグループでは毎年行われている周年イベントではあるが、15周年ということもありいつも以上に色々なゲストを迎えていた。

新宿の一等地に建っている五つ星のホテルの最上階で行われるそのパーティーにはアルシードグループきっての新進気鋭のホストおよびホステスが呼ばれ、盛大にこれからの決意や躍進を誓い合うのだが、他の店に自分の店の魅力を見せつけるというこんな絶好の機会のために皆見栄を張り合う。そのためどの店のキャストも皆豪華に着飾っている。それともうひとつ大きな理由がある。

『ね〜ぐるちゃん、もう疲れたよぉ〜偉い人ばっかでやんなっちゃう……。』

gr「もう少し大人しく待っててくれよ、あと少しだから。」

『むー、今日めっちゃ早起きしてきたから眠い……。』

os「最悪寝ててもいいめぅ、俺の腕なら寝てる人にメイクするのもお易い御用めぅ！」

彼女の右にたって説得する、アルシードグループの幹部の中で最若手でかつ総支配人のこのグルッぺン。海外の血を引く彼は一見すると、海外の俳優にも引けを取らない顔立ち、しかもそのカリスマ性ゆえにホストとして現役をしていた時は世界各国から様々なプレゼントが届くようなそんな男。この話はまた今度。

対して左側にたつこの男はオスマンといい、世界各国から呼ばれるメイクアップアーティスト。彼の腕を求め、各国のセレブは大金を叩く。ひとたびテレビをつければ名前が出てくるような彼を鶴の一声で呼んでしまうグルッペンは一体何者なのだろうか。

そんな凄い人間に囲まれているというのに平気で欠伸をかますこの女。Aは数多あるアルシードグループの店の売上のおよそ2割を賄っている。そうこのAをどの店も自らの店に引き込みたい、そのアピールの為にこの日に大金を叩いている。この日以外で彼女を引き抜くために、声なぞかけようもんならちょっとした島なら買えるような大金が動くために、どの店もこの日のチャンスにかけているのだ
彼女はグループ内の売上ナンバーワンとして、特別に控え室が設けられていてその一角でメイクを施してもらっている。

彼女は自分の店が気に入っているので、散々勧誘を断り続けなければならないこの日がとても苦手だった。だが、年に一度のこの日だけでもちゃんとしておけばこれ以降は大人しくなるので渋々参加している。