【d!】君の犬になりたい。 (ページ7)

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差し込んでくる太陽の光がとても強くて、目を覚ます。朝と呼ぶには時間がたちすぎている。鳥の鳴くような時間でもないため、どこからか子供の声が聞こえた気がする。朝ごはんがわりの珈琲を入れようとしたところでスマホが鳴った。

rb「あかんで、ちゃんと朝飯は食べや。」

はぁいと見上げた先にはカメラがある。ロボロくんは私の生活の一部を覗くのが趣味みたい。そんなことでいいの？って前に本人に聞いたけどこれで十分らしい。

『お風呂は恥ずかしいから覗いちゃだめだよ！！』

そう言うと慌てた様子で誤字だらけのメールが届く。あー面白い。パーカーを羽織って財布とスマホだけ持ってコンビニに向かう。いってきます、と呟くとそれに応えるようにスマホが鳴った。

外に出るともう正午だからか町は忙しなくて、人々は急ぎ足でどこかへ向かっている。コンビニについて、お茶とヨーグルトを手にとると不意に顔に影ができ、思わず顔を上げた。

em「奇遇ですね、こんなところで会うなんて。」

『エーミールさん！こんな時間にどうしたんですか？』

em「いやぁ、系列店の新店が今度出るじゃないですか。それの準備を手伝っていたんですけど、どうにも上手くいかなくて。長丁場になりそうなんで、ご飯と差し入れを買おうと思いまして。」

あとタバコ、なんて言って大人しそうな顔をくしゃっとして笑う彼をみてつられて笑ってしまう。持ちますよ、と言ってついでにお会計までしてくれた彼はどこからどう見ても紳士だろう。だが彼もまたこちら側の人間である。

『エーミールさん、新しいGPSの調子はどう？』

em「上々ですよ！以前のものよりズレも少ないですし、何よりAさんが襲われた時も気づけるような機能をつけました！」

自信満々にこういう彼は、私の安全を確保できないと安心できないようで。GPSを付けさせてくれと頼まれた時は驚いたがすぐに了承した。そんなことでいいならもっと頼んでほしい、もっと欲張りになっていいんだよ？なんて言うんだがなかなか言いたいことを溜め込んでしまう彼にはちょっと難しいみたいだ。

家の前まで送りますよ、なんて爽やかな笑みを浮かべるエーミールさんはやっぱりただの優しい紳士にしか見えない。